はな子のいる風景 イメージを(ひっ)くりかえす

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published by 武蔵野市立吉祥寺美術館 Kichijyoji Art Museum / 2017/

69年間という時間を紡ぐのに、こんな方法があったのかと驚いた。吉祥寺動物園にいたはな子の前で記念写真をとる人たちの写真で一頭の像の人生を紡ぐ。点と点を結んで直線に。この本を手にとって衝撃が走ったのを覚えている。それぞれの写真はインターネットから拾ったりファウンドフォトのようなものではなく、一般に募り家庭で眠っていたプリントを送ってもらって編纂された。

年代がバラバラなので、当然ながら使われた機材やプリントされたフォーマットも違うので、それぞれを統一しモノクロに変換したものが本編となっている。また、リサイズする前の実寸のプリントが本文に貼り付けられているという、非常に凝った造本だ。中には貼り付けられたプリントの裏面にアザーカットが印刷されてるものもあり、捲る楽しみがあり面白い。

写真集を開く前はなんとなく「はな子大好き!」的なベクトルの1冊かと思っていたのだが、良い意味でその先入観は大きく裏切られた。一枚一枚は本当にただの記念写真。ただ、そこにはな子がいたから撮った写真。それは個別では全くもってはな子への愛などというものではない。それぞれの家族のそれぞれのストーリーの断片がそこにあるだけで、決してはな子は主要な出演者でもない。しかし、それらを集積し時系列に整理して並べた途端、長年に渡りそれぞれの家族のストーリーの背景にスポットで登場した名脇役の存在が大きく光ることになる。延々と続く背景のはな子を見ていくうちに、はらはらと感動し涙を流している自分がいた。

提供者それぞれのコメントを収録した冊子も同梱されていて、そのテキストを読みながら写真を見るという楽しみ方も。とにかくこの1冊に注ぎ込まれた労力を考えると2000円で買えることが信じられない。歴史に残る傑作。1刷はすぐに売り切れたみたいだが、その後、2刷が出てるので今でも普通に購入できるので、是非この本だけは見ておいた方がいいと断言できる1冊。



現在、一般の書店での在庫がなく、版元の吉祥寺美術館のミュージアムショップに在庫があるそうです。

さくっと書いたので、詳しいレビューはこちらで

夜にはな子のところに忍び込んだ酔っ払いを殺してしまったり、飼育員も1人亡くなっているのだけど、それらの時期はぽっかりと時間が空いていたりするので、なるほどなあ、と思ったりも。



by atsushisaito | 2019-11-10 17:28 | 写真集 | Comments(0)