2016年 09月 06日
Aaron Schuman 「FOLK」
Aaron Schumanって名前をそういえばどこかで見たことあったなと思ったら、Alec SothのGathered Leavesにエッセイを書いていた人。写真家でありキュレーターでもあるとか。
写真には一切のキャプションなどはなく、ファウンディングフォトのような昔の写真と現代に撮られた写真が交錯する。冒頭と終わりにはガリツィアの地図の写真。今ではポーランドとウクライナとして分かれているが、第一次世界大戦までは同じ国だったそうな(wikiで調べました。。。)。巻末にはテキストがあり、始まりはAaronの母の旅行のメモ書き。Aaronの曽祖父はこのガリツィアからアメリカに移住した。このメモ書きは母が自分のルーツを探るために2011年にポーランドを旅したときのもの。
それがなぜ、この作品に繋がるかというとAaronが2014年にポーランドのクラクフで開催された写真イベントの展示のキュレーターを務めることになったから。その曽祖父は偶然にもそのクラクフから150kmほど離れたところの村出身だった。それが今回の作品の製作のきっかけだと思うのだけれど、作家の興味の対象はFOLK(民族)に向かった。Ethnographic museum(民族学博物館)の収蔵作品を用いて、自身の血を手探るように作品を展開していく。収蔵作品を使うための学芸員とのやりとりも巻末に収録されている。
収蔵作品の写真、また収蔵品を撮影した写真、それらで織り込まれていく一連の流れは、本当に私的なもので、そしてそれは簡単に理解して共感するのはなかなか難しいのだけど、多民族国家である一人のアメリカ人がそのルーツをこういう方法で探り辿る行為が写真集という形になっていて素敵。よくわかんないんだけどね、ほんとに。