2014年 11月 19日
Andy Sewell 「Something like a Nest」
self-published, 2014,
前作 The Heathで成功をおさめたAndy Sewellの2冊目の写真集。今回もThe Heathのときと同じく、発売前にSpecial editionを販売することによって印刷費用を調達する形で出版された。 Martin Parrのお気に入りの作家で、前作今作ともに、Special editionのクレジットの1番目にParrの名前が。 僕もThe Heathは通常版を購入したのだが、今回はspecial editionを事前購入した。写真集に収録される全ての写真の中から、好きな写真を一枚選ぶことができて、かつ巻末に名前がクレジットされるという特典つき。
前作The Heathは布張りに大胆な型押しを取り入れた装丁で、とてもインパクトがあったが、今回は少しトーンダウンした印象を受けた。しかし、印刷は前作同様、こってりとした色調でとても力強い。 作品のテーマはイギリスの田舎。都会の喧騒が皆無な静かな生活が切り取られている。作品の流れを見ていて、印象的なのが食に関連するイメージ。都会のサイクルとは違った生活が感じさせられる。その中でも特に目を奪われたのはキッチンのシンクのイメージ。何度も繰り返されるシンクの挿入は、Sewellがこの作品の核として位置付けているのがわかる。生活の原点が、子供を育ててくれる母が生涯の中でもおそらく長く時間を過ごすことになる、この場所。そこの風景が美しくあればあるほど、生活が豊かで幸福に満ち溢れているであろうことは、誰の眼にも疑いはない。