2014年 07月 21日
Italo Morales 「Overnight Generation」


















published by Verlag Kettler, 2012, edition of 600,
Italo Moralesはベネズエラ出身で、現在ベルギーをベースに活動している写真家。2012年のDummy book awardにノミネートされた今作は、クラウドファンディングサイト kickstarterで132人から一万五千ドル以上を集めることに成功し、出版された。
作品の舞台となったのはサラエボ。サラエボはボスニア・ヘルツェゴビナの首都。どちらかというとあまり聞き覚えがない国だが、先日のワールドカップで初勝利したことが最近話題になったばかりでもある。ユーゴスラビアから独立後10年以上経っているにもかかわらず、ワールドカップの本選出場も初めてだったのには、長らく続いた紛争が大きく影響している。特にサラエボは4年にも渡り首都をセルビア人勢力によって包囲されていたという悲劇に見舞われた。
Italo Moralesが撮影したのは、サラエボ包囲の時に子供時代を過ごした若者たち。現在すでに街は復興を遂げて人々にも安寧が訪れているように見えるのだが、残された爪痕は街中の弾痕だけではなく、多感な時期に不安な夜を過ごし続けた人々の心にも深く残っている。
写真には積極的に悲観的なものを写しているものはない。むしろありふれた日常ともいえるものだ。でも、サラエボが歩んできた歴史を考えながらページを捲ると、クリアな光景の隙間に潜む不安定さが見え隠れしてきて落ち着かなくなる。造本にも工夫がされていて、写真が印刷された透明なシートが、ところどころに挿入されている。それにより写真が重なることによって生まれる不鮮明さが、さらに不安定さを煽る。
自分達の平穏な日常の裏で、起きている非日常のアフターストーリー。今、見るべきではないだろうか。
by atsushisaito
| 2014-07-21 17:18
| 写真集
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