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Ed Panar 「Animals That Saw Me vol.2」

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published by Ice Plant , 2016,

 前作のAnimals That Saw Meの続編。装丁(微妙に丸背のあたりが違う?)、ページ数そして掲載写真数も同じくまさしくボリューム2。タイトルのまま、ただ単純に動物が撮影者を見つめているところをスナップした写真をまとめた作品。
 なんだただそれだけかと思われるかもしれないが、ただそれだけでまとめてしまうという発想が普通にはでてこない。そして、そのシンプルなただこちらを見つめている動物の眼差しを見つめれば見つめるほど鑑賞者は撮影者であるPanarと一体同化していくのである。
 この体験に覚えがある人は多いと思う。牛腸茂雄のSelf and othersを観賞しているときがそう。牛腸の撮影された人物を見つめているはずが、対象者の目に写る撮影者である牛腸の気配を感じるときがある。シャッターが落ちた一瞬の止まった時間の中で永遠と交錯する視線の間に鑑賞者が身を置くと、その視線がとても優しく感じたり、すこし不安で緊張していたり、そういった微細なことにまで気がつくのである。
 まあそんなことはさておき、この写真集をただの動物写真集としてしかとらえられないのか、それとも一枚一枚に存在するのその瞬間を愛しく感じられるかは、結局は見る人しだい。ただ、僕には昆虫の視線はよくわからなかったw 鳥も微妙に怪しいのだけど、これはたぶん撮影時の首の動きで判断してるところもあるので、その瞬間はこれからゆっくり吟味してみようと思う。よく見てもわからないかもだけど。
 
 この写真集いいよなあ。意外とこの小さなA5変型のサイズ、好み。vol.1をひさしぶりに開くと奥付にinspiration:Chet (1993-2011)って記載されていることに気がついた。18歳で亡くなったワンちゃんか猫ちゃんの写真を撮っているときにアイデアを思いついたのかな。
 
by atsushisaito | 2016-12-27 12:43 | 写真集 | Comments(0)

Best Photobooks of 2016

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Masahisa Fukase "Afterword" by roshin books
http://roshinbooks.com/afterword.html
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Moises Saman "Discordia" self-published,
http://www.discordiathebook.com/moises-saman/
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Jack Latham "Sugar Paper Theories" by Here press
http://www.herepress.org/publications/sugar-paper-theories/
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Ayano Shimoyama "moonstone" self-published
http://ayanoshimoyama.com/
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Diane Arbus "in the beginning" by Yale University Press
http://www.metmuseum.org/press/exhibitions/2016/diane-arbus
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Emi Fukuyama "I Had Seen the Shore" self-published
http://fukuyamaemi.com/shop.html
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Gerry Johansson "Tokyo" by Only photography
http://www.only-photography.com/pages/publishing_published_1.html#gerryjohanssontokyo
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Araki Nobuyoshi "Sentimental Journey" by Kawade Shobo
https://www.shashasha.co/en/book/sentimental-journey
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Cristina de Middel "Sharkification" by Editora Madalena
http://www.lademiddel.com/thisbookistrue/product/sharkification-by-cristina-de-middel/
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Matt Stuart "All That Life Can Afford" self-published
http://www.mattstuart.com/
by atsushisaito | 2016-12-14 13:00 | 写真集 | Comments(0)

Todd Hido 「Intimate Distance」

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published by Aperture,2016,

 Todd Hidoのこれまでの作品が纏められた一冊。小さいzineなどを除けばほぼNazraliから出版されているのだけど、どれも人気ですぐにsold out。現時点で普通の価格で手に入るものがないので、この機会にこの写真集でHidoの仕事を見ることができるのは、嬉しい。
 ロードムービーのようなあてどなく旅をする感覚、車のウィンドウの向こう側の光景、前景のアウトフォーカスがより寂寥感を盛り立てる。寂れたモーテルでの女性のスナップ、美と醜の絶妙なバランスに独特な色使いが映画的にHidoの世界を演出する。
 
 ちょっと時間がなくて書きなぐり、、
by atsushisaito | 2016-11-17 16:41 | 写真集 | Comments(0)

Mark Cohen 「Mexico」

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published by Éditions Xavier Barral and Univ of Texas,2016,

 Mark Cohenが1981年から2003年の間に8回訪れたメキシコで撮影した写真をまとめたもの。Cohenというとローアングルの変態的な視点で日中シンクロでストロボバン!!っていうイメージだけど、この作品集ではわりと引いた視点が多い。キャプションでは、地元アメリカのウィルクスバリで撮影するように撮影した、とのことだけど、まともな写真が多くて意外。
 彼の作品はわりと最近まで全然知らなくて、2013年にパリのLe Balでやっていた展示とその図録で存在を知った。カメラアングルが際どくて、その対象の抽出の仕方がいかにも痴漢的というか変質者っぽくて、そしてそれをさらに演出する乱暴なストロボな使い方が面白い作家なのだけど、日本での露出があまりない、というより作品集もそんなに出てないみたい。
 70年代にはジョン・シャーカフスキーのキュレーションでMOMAで展示していたりする作家で、もうちょっと色々知りたいところ。写真集のカバーがかっこよくて、布クロスにプリントしているのだけど、使っている色が大胆にも黄色。元の布の色と相まってなんとなく蛍光色っぽく見えて素敵。丸背も合ってる。
 
by atsushisaito | 2016-11-14 12:09 | 写真集 | Comments(0)

Alexander Gronsky 「Mountains and Waters」

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published by The Velvet Cell, 2016, edition of 750,

 先日のTABFで購入した1冊。グロンスキーの新作。日本でも展示があったりレジデンスで作品を製作したりと、日本でも広くその名前が広がりつつある。今回の舞台は中国。上海、重慶そして深センの郊外を中心に撮影したもの。世界の構造を捉えるセンスがずば抜けている感覚を持っている作家なので、その写真の中には拡大していく社会とその影が混在し、またスモッグだろうか、視界をぼんやりとさせてしまう空気が作品を神格化させている。
 ただ、もう少し装丁には力をいれて欲しいし、紙も少し厚手にしてほしかった(折れそうで嫌)。とはいえ、現在の彼の人気を考えると売り切れ必至なので、今のうちに是非。今のポンド安だったら、はやくポチったほうがいい。
http://www.thevelvetcell.com/products/mountains-and-waters-alexander-gronsky

by atsushisaito | 2016-09-24 17:44 | 写真集 | Comments(0)

Cristina De Middel 「Sharkification」

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published by Editora Madalen, 2016,edition of 1500,

 Afronautsでのデビュー以降の活動がものすごく盛んで、出版物もとても多いCristina De Middel。どの作品も感覚のみで撮るような作品ではなく、入念なリサーチを積み上げてからの撮影なので、次から次へとよく製作できるなあと唖然とする。実際、いくつかの彼女の写真集を持ってはいるが、こちらが読み解く時間がなくて、ちゃんと見れていないものもある。
 このSharkificationはTABFで購入したのだが、明確なコンセプトで分かり易い作品だったので彼女の他の作品より先に掲載。代官山蔦谷に解説文があったので、こちらを読んでもらったほうがわかりやすいと思うので、勝手に掲載(ごめんなさい)。

 プリントつきのスペシャルエディションが100部あるみたいだけど、そっちも触りたい。

代官山蔦谷のサイトから http://store.shopping.yahoo.co.jp/d-tsutayabooks/art55639w.html
「ブラジル・リオデジャネイロには、ファべーラと呼ばれる治安の悪いスラムに数百万人が住んでいます。2014年のワールドカップと16年のオリンピックを前に、無計画に建てられ迷路のようになった木造の小屋が立ち並び犯罪の温床となっているその地域を一掃すべく、ブラジル政府は武装した警察を送り込み麻薬組織や犯罪集団の掃討作戦を開始しました。告発やでっち上げが横行し、突然誰が容疑者にされてもおかしくない状況を、写真家クリスティーナ・デ・ミデルはサメという捕食者がいる珊瑚礁に見立て、海底世界のように撮影しました。フロントガラスの割れた車や覆面の男といった攻撃的なイメージは水色の深海のようなレイヤーに覆われフィクション的に表現されています。表紙外ページの地図の水色部分はスラム地域を表しており、ファベーラでの抗争にまつわる記事もプリントされた凝ったブックデザイン。人々の感情に直接訴えかける従来のジャーナリズムに拠らず、知的に編みなおされた物語として提示しています。」
by atsushisaito | 2016-09-22 17:50 | 写真集 | Comments(0)

Yulia Krivich 「PRESENTIMENT」

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published by Fundacja Sztuk Wizualnych, 2015, edition of 300,

 端正なクロスのハードカバー、いわゆる表1といわれる表にはなんの表記もない。背にはポーランド語、英語、ウクライナ語にロシア語と4言語が並び、一目ではなにが書かれているのかわからない。英語の「PRESENTIMENT」だけわかった。本を開くと、そこには完全に綴じられていないニュースペーパープリント。本を縦にしてページを捲っていく。折ってあるものを開くものだから、綺麗に作品を見ることができない。また綴じられていない部分に隙間ができる。ちょっと雑な作りだなあ、と軽く触ってしばらく放置していた。デザインがお気に入りのAnia Naleckaで、編集もAniaと写真家のRafal Milach(彼もお気に入りの写真家)で期待していた分、落差が激しかったわけだ。
 といってもせっかく手元にあるのでちゃんと読み込んでみようと、最近触ってみるとなんとなく造りに対してしっくりときた。作家のYulia Krivichはウクライナ出身で、ポーランドで写真を学び現在もそこで作家活動を続けている。そしてたまに帰省するのだが、運がいいのか(写真家として)悪いのかウクライナは東西を分ける紛争に突入していく。撮られている写真がフィクションなのかノンフィクションなのか、それはわからない。しかし彼女はその激動に揉まれていく空気を表現している。それを踏まえた上で造本を見直してみると、ニュースペーパープリントのもろさ、折り目、そして結合しきれないつなぎ目、どれもがウクライナの不安定さをそこに投影しているのではないか、そして編集の平和的な写真と暴力が織り成される様も揺れる作家の心情を紡ぎだしているのではないか、そういう風に見ると、なんとなく理解できたかな、と思った。
 奥付に作家のテキストが掲載されているが、そちらもポーランド語、英語、ウクライナ語、ロシア語の4つ。このことがもしかしたら一番この作品を象徴しているのかもしれない。最後の裏表紙に空押しで小さく作家の名前が押されていて、それを指先でそっと触れた瞬間、いい作品だなと感じた。
http://www.flotsambooks.com/SHOP/PH02757.html


by atsushisaito | 2016-09-14 13:09 | 写真集 | Comments(0)

William Eggleston 「For Now」

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published by Twin Palms Publishers, 2010 , 1st edition of 3000,

 エグルストンの2010年のベストセラー写真集。およそ3万5000枚もの未発表作品から映画監督のMichael Almereydaが収録作品を選んだ。時間軸は1970年代から2000年代のものまでその幅はとても大きいのだが、その色や作中に流れる空気感は時間の変化を全く感じさせないところがさすがエグルストンといったところ。ただし、登場人物は年をとっていく。おおよそ時系列にまとめられた編集で全体に通底するテーマが家族。表紙で黄色い花柄の布団にくるまれてベッドに横たわる若かりし頃の妻が子供たちの母となっていく。そしてその子供たちは父へと。そのあたりが全体にさりげなく編み込まれているところとタイトルの「for now」という言葉の意味が向き合った瞬間、なんだか優しい気持ちに包まれてしまう。
 エグルストンというとやはりアメリカ南部の空気や色が特徴なんだけど、この本はその色をうまく全面に押し出した造本で、とても気に入っている。表紙に使われているくすんだ黄色(深支子っていう色っぽい)の表紙をめくると同系色の見返し(こっちは山吹色っぽいけど)、そこから収録されている写真の随所に黄色のファクターがちりばめられている。美麗な印刷の大判な本なので、ちょっとした小物が黄色であったりするのがよくわかる。もしかしたらそれは別に狙って造ってるわけじゃないのかもしれないが、僕はそんな楽しみ方でこの写真集をみてる。名作。ちなみに収録作品の一枚だけは他の本で発表済みとか。

by atsushisaito | 2016-09-12 14:08 | 写真集 | Comments(0)

Olivia Bee 「Kids in Love」

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published by Aperture, 2016,

 たまに酔っぱらいながらUSアマゾンを閲覧していててきとうにポチってしまい。こんなの買ったかなあっていうのがあって、その一つがこれ。Olivia Beeっていう人をそもそも知らなくて、なぜあのApertureがこんな若い女の子の写真集を出しているんだろうって不思議に思って調べてみると、世界的な売れっ子フォトグラファーなのな、彼女。若干、22歳でエルメス、アディダス、ナイキやらNY times, Le MondeにNumeroと数多くの仕事をしている。エルメス
 収録されている作品は二本立て。ひとつは15歳からの初期の作品「Enveloped in a dream」、そしてもう少し後の時代の作品「Kids in Love」。その時代のその視点でしか見ることができない切ない空気感にドリーミーなタッチで一言でいってしまえばRyan Mcginleyな感じでもある。事実、インタビューで影響を受けた作家にRyan McginleyやNan Goldinの名前が挙がっている。あとMike Blodieの名前もあった。もともとフリッカーに上げていた写真が話題となり、それを目にしたコンヴァースが最初に依頼したとか。写真集をみてると、意外とそういうとこから話題になったケースも少なくないなあ、と。
これとか http://atsushis.exblog.jp/24001095/ 
これとか http://atsushis.exblog.jp/23276704/
これもある意味そうか http://atsushis.exblog.jp/19059561/

 
 

by atsushisaito | 2016-09-10 15:45 | 写真集 | Comments(0)

Alejandro Cartagena 「Santa Barbara Return Jobs to US」

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published by Skinnerboox, 2016, edition of 500,

 カリフォルニアといえば、青い空の下で高級な車が走りまわり綺麗の女が自信ありげに街を闊歩してる姿を安易に想像してしまうのだが、Alejandro Cartagenaが捉えるカリフォルニアのサンタバーバラは激しく不穏な気配に満ちている。
 Alejandro Cartagenaといえば2014年のCarpoolersがヒットした作家。交通費を浮かせるためにトラックの荷台に相乗りする労働者を上から俯瞰した作品で、一気にその名前を世界中に知らしめる結果となった。写真もいいのだが、その本の装丁がとても素敵で僕も一瞬で恋に落ちてしまった作品。
 本作品はサンタバーバラでのアーティストインレジデンスで撮影されたもの。ブラッドピットのような大物ハリウッド俳優が在住しているような陽な面はなく、とにかく陰の世界。メキシコ出身のAlejandro Cartagenaがこの地でレジデンスに参加することになった経緯はわからないが、もともとスペイン領を経てメキシコ領になった経緯がある地で、わりと自然にその世界に入りこめたのではないかと思う。安易な考えだけど。
 サンタバーバラという地名は、メキシコ、チリ、そしてヴェネズエラにもあり、本作品にはそこで撮影された写真もミックスされているとのこと。ただ、どれがどれかということは全くわからない。ソフトカバーながらベルベット調の紙を使って、しっとりしつつ高級感をだした装丁は好感が持てるし、そこから始まるなにかの気配を絶えず張り続ける編集は、carpoolersの時とは一転したスナップショットで構成されていて、作家の幅を感じさせてくれる。
 

by atsushisaito | 2016-09-08 22:19 | 写真集 | Comments(0)