カテゴリ:写真展( 350 )

Alec Soth 「Gathered Leaves」@Science Museum

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 Alec Sothの展示があると聞いて、ロンドンに。昨年にMACKから出版されたGathered Leavesはこの展示のために製作された図録的なもので、ソスの過去の写真集4冊のミニチュアで構成された写真集ボックスと同じように、展示の方も一つ一つの写真集で部屋が区切られ、写真集製作を大事にするソスのこれまでの仕事の集大成的なものとなっている。
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 最初は当然、Sleeping by the Mississippi。大判カメラで撮影された作品なので、大きなプリントでごりごり押してくるのかと思ったら、意外にも全紙くらいのプリントが端正に並べられていた。中央にはSleeping by the Mississippi ができるまでのマケットから、1st,2nd,3rdが並んでいて興奮した。僕も1刷〜3刷までのバージョンは持っているので、こうして並べられたらマケットまで欲しくなってしまう。当然、買えるような値段ではないと思うけれど。
 しかし、こう改めてみるとロードトリップの空気感から色合いまで、過去のアメリカの写真家のエッセンスをうまく取り入れて、消化してる。とりわけSleeping by the Mississippi は宗教色が強い作品で、それが緊張感を張りつめさせて、作品を一段高みに上げているのかとも思う。
 
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 続いてNiagara。これはソスの作品のなかではあまり好みではない。作品が語るテーマを一貫して「愛」なのだが、これがなんだかこそばゆくて、Sleeping by the Mississippi でみられたような緊張感みたいなものも薄い。
 
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 続いてBroken Manual。Niagaraで弛緩した空気が一変、世界から逃亡するための「マニュアル」を製作してしまう。Lester B. Morrisonという架空の人物を作り上げ、ソスの隠遁願望を爆発させたもので、けっこう重たい作品。そもそもこのbroken manual、極端に持っている人が少ない写真集。Walker Art Centerで展示に使われたスペシャルエディション300部と、先行でオフプリント(パリフォトだったかな、忘れた)で販売された少ない部数のadvanced editionしか出回っておらず、その後長い間、版元のSteidlではcoming soonの文字が表示されていて、ある日突然にsold outに変わってしまい、一体どうなってるんだ、と世界中の写真集コレクターが混乱したいわくのある写真集でもある。今回のGathered Leavesの図録で、初めてbroken manualの存在を知った人が多いと思う。展示のBGMというか効果音も、怖い感じでNiagaraの部屋とは完全に違和感が、、、、。

 最後の部屋は、昨年のベストセラーのsong book。こちらはbroken manualから一変、アメリカ各地のコミュニティーを相棒のBrad Zellarと共に、再びロードトリップで駆け巡る。

 というわけでお薦めの写真展でした(尻つぼみな感想だけど時間がなくなった、、)。

http://www.sciencemuseum.org.uk/visitmuseum/Plan_your_visit/exhibitions/alec-soth

http://store.shopping.yahoo.co.jp/umd-tsutayabooks/phot9781910164365w.html
by atsushisaito | 2016-02-17 20:10 | 写真展 | Comments(0)

張り込み日記展のお知らせ、と写真集飲み会のお知らせ

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2015年4月3日(金)~2015年5月10日(日)
 
渡部雄吉 張り込み日記 写真展
Yukichi Watabe Stakeout Diary photo exhibition

時さえ忘れて
福島県会津若松市栄町1-40 2階
0242-22-0530
http://tokisaewasurete.hatenablog.com/
会期中 charge 500yen

OPEN 17:00-3:00
(日曜日 15:00-24:00)
CLOSE 月曜日

酒場での写真展です。お一人様一杯のご注文をお願いします。また、作品保護のため、展示期間中の店内での喫煙はご遠慮いただきます。

 
 というわけで、春から福島県の会津で、張り込み日記の写真展がおこなわれます。「酒場」と表記されていますが、これはご主人のこだわりでそう呼んでいるだけで、感じは広めなバー、もしくはカフェといった感じの雰囲気です。 酒場っていうと太田先生が、んんん、、うまいね、これは綺麗なお酒だ、、、て呟いていたり、吉田類が汚い顔でカンパーイ!っていってそうなイメージが先行してしまうので、ちょっと補足させていただきました。。。 
 会津はこの季節、桜も見頃だそうです。 今年の1月に初めて会津に行ってみたけど、コンパクトに観光スポットがまとまっていて、楽しめました。東山温泉も、観光巡回バスのルートに組み込まれているので、日帰り温泉もレンタカーなしで行けたり。 僕にはさざえ堂がツボでした。
 電車で喜多方市で定番のラーメンもよし、馬刺しもよし、はたまた蕎麦も旨しで、食も魅力的。そして高速バスは予約すると片道2500円という安さ。新宿から成田にリムジンバスで行くほうが高いという、、、、。 
 写真展の内容は、額装したプリント展示の他に、ナナロク版を製作する際の編集用に焼かれた小さいプリントがたくさん展示されます。 また写真集展示も。フランス版は3刷まで出版されていますが、貴重な1stを含む3冊を展示(表紙に小さく貼られた写真が違う)、それに加えroshin books版の5種の表紙(初版3種 2nd 1種 special edition 1種)、そしてナナロク版と勢揃いします。
 会場でのナナロク版の販売もあります。 こだわりのお酒とともに、張り込み日記の世界をご堪能ください。

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 写真集飲み会、次回は4月18、19日。原宿のVACANTで行います。是非遊びにきてください。

【飲めるブックフェア 写真集飲み会!】
 写真集飲み会ってなに?っていう疑問、わかります。会場には写真集を販売するブースとお酒を販売するブースがあります。単純にお酒を飲める写真集が中心のブックフェアと解釈していただければいいかと思います。もちろんノンアルコールのドリンクもあります。
 最初は居酒屋の隅っこで写真集好きが集まり、写真集を回し見るという暗い集まりが始まりでした。それを写真集飲み会と適当に名付けました。次第に参加者が多くなってきて開催場所を拡張していった結果、今回のような形となりました。
 ブックフェアって意外と殺伐としてるじゃないですか?ブースで出展者がふんぞり返っていたり、内輪でわいわいしてたり、え?お前、買うの?的なオーラって感じたことないですか?あの本ちょっと気になるなあ、と思いつつもブースの前を素通りして、でまた一周して勇気を出して手に取ってみるとか。なんか、そういうのではなくてお酒を片手に出展者と参加者の距離が近い、または参加者と参加者の交流があって、隣の人に何買ったんすか?って言えるようなイベントにしたいと思いました。だから、なんとかブックフェアって格好いいイベント名にするのは簡単だったのですが、このちょっとどころじゃない格好悪さの「写真集飲み会」っていうイベント名を残しました。
 あと、やはり私たちは写真集というものが好きなので、まだ写真集というものに対して自分とは遠いものと感じられている人がいるのであれば、とてももったいないと思うので、是非この機会にいろいろと触って見てもらいたいと思います。出展者の方々には、普段お店の店頭に出していない流通時に傷んでしまったような、いわゆるB級品のような安い価格帯のものも用意してもらえるようお願いしています。ブックフェアなんて行かなくても実店舗に行けばいい、そんな風には言わせないイベントでありたいと思います。

4月18日(土) 13時00分~21時00分
4月19日(日) 12時00分~20時00分
【料金】
入場料 500円

【販売ブース出展予定】

(順不同、敬称略)
Shelf
ナナロク社
newfave
Rondade
Osiris
twelvebooks
flotsam books
roshin books
赤々舎
SO BOOKS
リブロアルテ
山羊舎
二手舎
IMA concept store
Tycoon books
match and company
街道
book of days
代官山蔦屋書店
ユカイハンズ
https://www.facebook.com/events/763394953756260/
http://shashinshunomikai.tumblr.com/
by atsushisaito | 2015-05-10 20:39 | 写真展 | Comments(0)

京都グラフィー

 4 月19日から5月11日まで、京都市内の15会場と、そのサテライトイベントとして51会場で行われる写真のイベント、京都グラフィーに行ってきた。昨年に続いて2度目の京都国際写真祭り。
 パリフォトや東京フォトが一つの会場で行われるのに対して、京都グラフィーは街の中に各会場が分散されている。15のメイン会場を3日間かけて(頑張れば一日でまわれる)訪れてみたが、最初は街に不慣れなこともあって、その移動が億劫に感じてしまったが、2日目になるとその面白さがわかってきて、楽しくなった。初日に訪れた場所の組み合わせが少々悪かったということもあるだが。
 京都グラフィーのメイン会場は赤ののぼり、サテライトイベント会場のKF+は黄色いのぼりが外に立てられている。しかし、意外と目立たないというのが正直な感想。地図を読むのは得意なので、ざっくりと場所の目処を立てて歩いていると、前を通っても気付かずに見落としてしまうことも。場所も分散していて、通りを適当に歩いていると会場の幟を発見、ということはまずなくて、しっかりと場所を確認していかなければいけない。
 地理にも不慣れで、地図を読むのも苦手な人にとってはgoogle mapを常に見る状態になってしまうかもしれない。しかし、訪れた場所の素晴らしさで、そんな不自由さも楽しみの一つなんじゃないかと思えてしまうので不思議。 15の会場を巡ってみて、写真を観た、という充実感より京都という街を堪能したという気持ちの方が強い。
 パリフォトみたいに全身で写真の海に浸るような感覚で望むと、かなり期待外れな印象を受けるかもしれない。それより、写真を通じて京都を楽しむ少々ゆるいイベント的な気持ちで参加するのがいいと思う。

 本格的にGWが始まるこれから遊びにいくという人も多いと思うので、各会場の感想などを簡単に。

1 京都駅ビル7階 東広場
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 京都駅の東広場がまずわからなくてうろうろしてしまった。ラーメン屋が集まっている京都拉麺小路の反対側。西野壮平のDiorama Map。写真新世紀の受賞展から観てるが、床に寝かせてのレイアウトは初めてかも。入り口でオペラスコープを渡されて、細かいところも覗くことができる。しかし、京都という場所的な面白さはないので、すでに何度か彼の作品を観たことがあるならば、あえて行く必要もないかな、とも思った。 初めて観る人にはお薦め。作品のエネルギーは凄い。お昼に行ったのだが、夜の日が落ちた時間帯の方が、作品、そして場所的にもいいかもしれない。  
 京都拉麺小路では各地の有名店が集まったラーメンテーマパーク。各店、ミニサイズのラーメンを用意しているので、小腹が空いたら食べてみるのもいいかも。
 
2 龍谷大学 大宮学舎本館
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 ハーパーズで活躍したファッションカメラマン リリアン・バスマンの展示。 シャネルがバックアップしているだけあって点数が多くて見応えがある。また展示会場も歴史ある建造物で、雰囲気よし。京都駅から歩いていける。 
 残念ながら食べることができなかったのだが、龍谷大学の学食のメニューの一つ、龍ちゃんラーメンというのが名物だそう。各キャンパス、味が違うらしい。


3 京都芸術センター
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 映像のインスタレーション。烏丸から御池のメイン会場が一番集まっている場所なので、梯子の一つとしてはいい。
 1Fに土居珈琲が入っているので、お茶をしていくのもいいかも。近くの本店より空いていて使いやすい。食事もできる。

4 無名舎
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 明治時代に建てられた商家。ワーナー・ビショフの展示には惹かれなかったが、建物がとにかく素晴らしい。 どの会場もそうなのだが、写真を展示することによって、作品と場所、相互に力を発揮するということはなく、どうしても建物への印象しか残らなかった。建物が素晴らしすぎるのかな、、、。

5 誉田屋源兵衛 黒蔵
  
 老舗の帯問屋さん。町家の奥にある蔵での展示。報道写真家 スタンリー・グリーンの展示。1Fはグリーンランドのカラー写真で2Fは、紛争地帯での写真と映像。この映像がとにかくかっこよかった。これは必見。そして受付で貸してくれるテキスト。これも本当に面白いテキストなので、流し読みすることなくじっくり読むことをお薦めする。 「アル中になって女房に捨てられる前に戦地を選んだ」(スライドでの台詞)。 

6 京都文化博物館 別館
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 NASAが撮影した火星の地表の写真。本館の印象派の展示は行列の大盛況だったけれど、こちらは静かに。高画質に圧倒される。映像も美しいのだけれど、僕のときには少々不具合が出ていたのが残念だった。
 もし朝に訪れるのなら、すぐ近くのイノダコーヒー本店でモーニングを食べるのがお薦め。モーニングは7時から11時まで。遅い時間には行列になってしまうので、少し早めに行くのがいい。すぐ近くの三条店の巨大な円形のカウンターも一度は座ってみた方がいい。こちらはモーニングはなし。禁煙を選んでしまうとカウンターに座れないので注意。僕はカウンターに座りたいので、吸わないけど、そちらに座らせてもらう。ミルクと砂糖を入れるかどうかを聞かれるので、是非とも入れてもらおう。入れてちょうどいい濃さで淹れられてる。 

7 嶋臺ギャラリー

 明治 16 年に建てられた建物。言わずもがな雰囲気最高。

8 弘道館
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 ここと虎屋ギャラリーが、中心から少し外れている。この外れ具合が微妙で、歩いていけなくもないし、電車に乗るにも待ち時間など考えると微妙だったり、バスならなおさら。しかし、外せない展示。 正直なところ、展示されている写真はどうでもよい印象。もはや展示などなくてもいいんじゃないかというくらい、素敵な建物で感動した。京都って素晴らしいと感じた。でも、この出会いって京都グラフィーがあったからこそ出会えたものであって、京都グラフィーいいな、と思った瞬間でもあった。

9 虎屋 京都ギャラリー

弘道館の近くなのだが、意外と迷ってしまう場所でもある。要は和菓子の虎屋の隣に作られている。和菓子屋とギャラリーが頭の中で結びつかなくて少々迷ってしまった。同じように迷われてあたりを彷徨ってる人もいた。 コロタイププリントの展示。 これを観た後は、便利堂の安井仲治のコロタイプ展も必見。しかし、少々歩くことになるのだが、、。平日の便利堂ではギャラリーから隣の工房でコロタイプを刷っているところを見学することができる。
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 和菓子を食べる習慣がないので食べなかったのだが、虎屋で抹茶と和菓子もいいかも。

10 下鴨神社
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 出町柳から少し歩いたところの下鴨神社の細殿を使った展示。 まったく写真を展示する環境じゃないので、写真がもったいないとも思ってしまった。ただ、下鴨神社そのものが良いので、それも帳消し。 Still Crazyの写真集が欲しくなった。

11 フランセ関西
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アクセスの良し悪しをいえば、あまり良いとは言えないし、映像2作品とカフェに少し写真があるだけなので、ここは時間がなければ外してもいい。 展示を観てるときに、他の客から「国際写真祭のここの展示ってこれだけなんですか?」と聞かれた。 
 阿闍梨餅で有名な満月が、フランセ関西と出町柳までの中間にあるので、買って帰るのもいいかも。

12 無鄰菴
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 ここも東に離れている。離れているとはいっても平安神宮などの著名な観光スポットには近いので、そのついでに行けばいいかも。 無鄰菴という場所が良さだけで、写真の展示はいまいち。
 無鄰菴の隣が有名な料亭の瓢亭なので、4500円の朝粥を食べるついでに行くのがいい。

13 鍵善寮

 建物もいいし、写真もいいのだが、展示としてはいまいち。
 近くの祇園で萬屋の九条ネギうどんを食べて帰るのもいい。

14 ASPHODEL

 1Fで著名な写真集の展示、2Fでは近代の日本の写真集を閲覧でき、3Fではスライド、その他イベントスペースになってる。 さすがにこれは東京の恵まれた環境にいると、行く意味がないなと思った。1Fの展示のまとめ方も、写真集をそれなりに勉強してる人にとっては、ありきたりのものだし、2Fの写真集も東京の書店で手に取れるものが大半。絶版のものもあったが。もし時間がないなら、外してもいい。

15 村上重ビル

 オーソドックスな写真展示。反面、建物の面白さはない。点数が少ないのが残念。
 この近くに食堂おがわという今、京都で最も人気の居酒屋があるのだが、もし飛び込みで入れるものなら挑戦してみてはどうだろうか。 フランソワという喫茶店もいい。

 新幹線の時間までの空き時間を使ってここまでざくっと書いてみたが、また後で補足します。誤字脱字は勘弁してください。そして、京都駅の小川珈琲、旨い。

by atsushisaito | 2014-04-28 19:34 | 写真展 | Comments(0)

Todd Hido & Nazraeli

Todd Hido & Nazraeli@POST
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 このone picture bookシリーズがずらりと並んだ景色!! こんな本棚が見られるなんて。それも日本で。 というわけで恵比寿にあるPOSTで、アメリカの出版社 Nazraeli特集が行われている。 Nazraeliの出版物で書店をパッケージング。 面白い試みで、前回はドイツのSteidlの特集をやっていた。 Nazraeliは写真集専門の出版社で、これまでに多くの本を出版していて、数々の名作を生み出している。また優れた造本で、写真集コレクターの心を常にくすぐる出版社として有名。
 one picture bookは小さなサイズの本で、たいてい10枚前後の作品が収録されていて、巻末には小さいなオリジナルプリントがついてくる本。 500部限定で、ナンバーリングとアーティストのサインが入っている。 どういうわけか、品薄になるとナンバーリングがAPになってくるのだが、このartist proofの取り扱い方には、少し疑問w。 
 POSTで現在、置かれている冊数だけでは、とてもじゃないけどNazraeliの全貌を知ることはできないけれど、その片鱗を味わうには十分に素晴らしい企画なので、ぜひとも多くの人に足を運んでもらいたい。

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Exhibition [Todd Hido]
 そのNazraeliの中でも名作を出し続ける主力作家の一人、Todd Hidoの展示も見ることができる。展示を見られるだけでも嬉しいのだが、欲を言えばHidoの著作も全て展示してもらえてたらなあ、と。触れなくてもいいから。
by atsushisaito | 2013-08-16 15:42 | 写真展 | Comments(0)

写真展「PHOTOGRAPHY」

写真展「PHOTOGRAPHY」@スペース オー
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 6人の写真家に富士のデジカメを使って写真を撮り下ろしてもらう企画。参加アーティストがとにかく豪華。 スペースの割に点数は少ないが、十分面白い。 なにより作家の個性がきっちり写真に反映されている。 Stephen Shoreはどうしても大型のカメラで撮ってるイメージが強い(もちろん小さいカメラでもたくさん撮ってる)ので、僕の中でのShoreとはちょっとずれてるのだけど、その他の作家は名前をみなくても誰の作品かすぐにわかるほど、写真に作家の色が表れていた。  特にEgglestonやParrの作品は、昔の作品かと思うような色合いまで表現していて驚いた。 使われた富士のXシリーズの画質の良さも凄い。
by atsushisaito | 2013-01-17 13:02 | 写真展 | Comments(0)

志賀理江子 螺旋海岸

志賀理江子 螺旋海岸@仙台メディアテーク
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 先月、仙台に観に行ってから、なにか感想のようなものを書きたいとずっと思い続けていたけど、結局なにも書けずに会期終了が近づいてきてしまった。 受けた衝撃がとても強く、回復してからすべてを理解するまでに時間がかかる感じ。 写真展という枠組みを超えて、その会場がなにかあたかも呪術を行うために準備されたような不可思議な構造。プリントした写真を、さらにストロボに光で複写することによって、自ら発光する写真、鉱石、ブランクな巨大なプリント。 中心地に向かって幾重にも円周に並べられたパネルをその背後から見ると、まるで卒塔婆のよう。  
 もうすぐこの作品の写真集が完成するそうなので、感想はそれと併せて。 この展示のためだけに仙台に行く価値があったと思うくらい。会期は残り少ないけど、無理して行ったほうがいい、と行った人の誰もがそう言う展示。
by atsushisaito | 2013-01-08 12:11 | 写真展 | Comments(0)

World Indie Photo Book Zine Collection 2012@TANTOTEMPO

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 神戸のギャラリーで行われている写真集などの展示。 面白い試みで写真集のセレクトをphoto-eyeやClaire de Rouenなどに依頼していること。 photo-eyeといえば写真集好きには絶対外せないアメリカのブックショップで、毎年著名な作家や批評家などから集計を集めて発表しているベストセレクションを楽しみにしている人も多い。 事実、このセレクションに選ばれることで大きくセールスも動く。写真集を買い始める時に一番参考になるサイトでもある(そこからどんどん自分の好きな傾向を見つけだせばいい)。 http://www.photoeye.com/magazine_admin/index.cfm/bestbooks.2011
 Claire de Rouenもロンドンのソーホーにある写真集専門店。日本の写真集も充実している。Koenig BooksやDonlon booksなどと並ぶロンドンを代表する店といっていいと思う(一度しか行ったことがないので、間違ってたらすみません)。 その他、Le Caillou Bleuというベルギーの出版社の本なども。 日本のギャラリーや今年のオフプリントなどでも目にした印象に残る装丁の写真集を出している。  
 実際のところ、それほど期待していなかった、というかそもそも別件でギャラリーに訪れたので、意外なくらい展示の写真集が充実していてびっくりした。 僕自身、今年のパリのオフプリントで買おうかどうか迷いに迷って、でも購入のタイミングというか、気持ちがうまく合わなくて買えなかったTiane Doan na ChampassakのThe Father of Pop Dance. があってびっくり(調べるとflotsamさんでも取扱いありますね http://www.flotsambooks.com/SHOP/PH00826.html)。このリング製本の昔のダンスの写真、いわゆるファウンドフォトのこの作品のダサ加減に凄くひかれつつも、飛行機で帰るときにこのリングが潰れたらいやだなあ、とかなんとかという葛藤を抱えていたわけで。  その他にもAndy SewellのThe Heath。昨年に発売されて早い段階でレアになってしまった本。作家のwebでは手持ちの残りのコピーを2万円以上で販売している。六つ切りのプリントがついたスペシャルエディションを100ポンドで予約段階で販売して写真集出版のお金に充てるというシステムをとったことで話題になった本。購入した人の名前を写真集にクレジット。その一人目はMartin Parr。 あとはMorel BooksでこれまたレアになってしまったCraig McDeanのSumoや、面白い試みのTHE SOCHI PROJECTの本などきっちり一冊一冊を見ていけば、かなり有意義な、写真集の「今」を体験できるイベントになっている。 さすがに東京から行くのもなんだけど、神戸大阪近郊に住んでいてこの展示を見逃すのはもったいない、としかいいようがない。 かなりお薦め、というか写真集やZINEを作ろうと思っている関西在住の人は行くべき。 無料で見れるのだから! 東京でもこういう試みはあっても面白いなあ、と思う。 と思ったけど、さすがに東京は出版社単位でそういうイベントがけっこうあったりするからなあ。 でも面白いかなあ。
by atsushisaito | 2012-11-29 01:34 | 写真展 | Comments(0)

after a criminal investigation

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 昨年の8月に手にした写真集「A Criminal Investigation」に衝撃を受けたことに端を発し、ネガを持つ渡部雄吉氏のご子息に会うことができた11月、それから半年以上を経過した今年の6月末に東京でその展示を開催することができた。
 写真集「A Criminal Investigation」が出版されることになった切っ掛けの神保町でヴィンテージのプリントを発見したという英国人Titus Boederさんとは、展示の企画段階から連絡を取り合っていた。そこで話題となり東京にいる私の宿題になったのは、写っている人は誰であったのか、まだ存命なのかということ。展示が終了するまでそのことを調べる余裕がなかったのだが、展示終了後の数日後に警視庁捜査一課を名乗る方からギャラリーのほうに電話があった。話を聞いてみると捜査一課のある方が私的な旅行でパリに行った際に「A criminal investigation」をたまたま手にされそれを持ち帰ったところ、この登場する刑事は誰だ?ということが一課の中で話題となったそうだ。てっきり展示から興味をもたれたのかと思っていたのだけど展示のことは全然知らなかったという。調べてみると僕が企画したこういう展示があったことを知り、展示の企画者なら有益な情報を持っているのではないかということで連絡をくれたとのこと。 当然僕からなにか提供できる情報はないわけで、捜査一課の調査を後日教えていだくことに。 そして数日後、登場人物であるベテラン刑事 向田力さんのご子息から電話をいただいた。
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 とりわけ写真集の中でも中心人物である向田さんは、当時42歳。失礼ながらもう少し年配の方かとも思っていた。向田さんは相撲好きで、相撲博士の異名をとるほどであった。 写真集には掲載されていない写真では、向田さんが家で寛ぐ姿がネガに写っているのだが、その向田さんの後ろのチャブ台で子供たちがご飯を食べているところの一番年長の息子さんが、僕が話した息子さんで、お父さんである向田さんと同じく警察官になられ、すでに定年退職しているというのだから、経過した時間の長さがうかがえる。  
 その向田さんのご子息から、一緒にコンビを組んでいる若い刑事さんは事件が発生した場所である茨城県警の方だという情報が得られた。なので、茨城県警にその旨を連絡した。数日後ぼくの携帯に着信があり留守番電話を聞いてみると 本人ですという音声が。すぐに折り返しお話させてもらったところ、こちらが驚くほど当時の事件をよく覚えておられていた。手元にメモもないまま、貴重なお話を聞くのはもったいない気がしたのでその場での話はそこそこに切り上げた。 茨城県の笠間市にお住まいということなので、後日お会いすることに。
 常磐道を北に走りながら、向田さんからお聞きした話を反芻した。 とりわけ一番興味深いお話だったのは、ベテラン刑事の向田力さんが山形出身だったということ。渡部雄吉の出身も山形だ。当時の東京で同じ山形の言葉を話す二人が仲良くなるのには、そう時間はかからなかっただろう。 そのことをメールでBoeder氏に伝えると、興奮気味にきっと子供のころからの友人だったんだ!と返ってきたが、残念ながら渡部雄吉氏は酒田で向田力氏は蔵王だ。 ずっと遠い。Boeder氏は、なぜ渡部雄吉が殺人事件の捜査に密着できたのか、ということに対する答が欲しかったのだ。
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 笠間市に到着し家の近くまで行くと、一人の老人が出迎えてくれた。 当時の若い刑事である緑川勝美氏だ。展示のためにずっと顔を突き合わせていた写真の中の若者が、目の前に80歳前の老人として現れたのだから不思議な気持ちだった。 電話でもその記憶に驚いたが、会ってみるとそれ以上にしっかりしていて再度驚いた。 
 バラバラ殺人事件は、当時の社会からすると驚くほど猟奇的な事件だった。もちろん現在だってバラバラ殺人だなんてそう当たり前にあるわけではないけれども、当時の茨木の田舎の県警ではてんやわんやの大事件だった。そういうわけで氏の記憶もとりわけはっきりしているのかもしれない。 犯人が硫酸を購入した場所から、遺体を焼却し残りを詰めたブリキ缶が仙波湖を何メートル移動したなど、と事件のあらましから詳細に説明していただいた。とはいうものの、氏は現場には行っていないそうだ。遺体からは身元がわかる指紋などの情報は得られなかったものの、遺留品の中から東京の旅館の手拭の切れ端が見つかったことで、県警は捜査の手を東京に広げた。そして緑川氏ら県警の刑事は警視庁捜査一課に派遣された。
 地理に不慣れな県警の刑事だけでは捜査はおぼつかない。なので捜査一課と県警の刑事が二人一組になって捜査をすることになった。くせ者揃いの捜査一課との連携はなかなかに難しかったそうだ。 しかしそんな中で当時まだ25歳と捜査本部最年少だった緑川氏と向田氏とのコンビはわりといい関係を築けた。 刑事になるのが早かった緑川氏は派遣された県警捜査チームのほかのメンバーと比べると一回りほど若かった。作品中の会議室の写真で緑川氏がお茶を汲んでいるシーンがその状況を物語っている。向田氏としては、素直に言うことを聞く新米刑事は使いやすかったんだろう、と緑川氏は言った。結果、二人は事件の解決に繋がる手掛かりを発見し、後に表彰され賞詞を授与されている。
 緑川氏の話を聞いていると、もしかしたら作品中の写真は全て撮影のためにセッティングされたものであったのか、という思いがでてきたので、素直にそれを氏にぶつけてみた。すると「捜査ですよ」と力強い返事が返ってきた。 たしかに渡部雄吉のディレクションで撮影した場面は存在する。しかし、作品の写真は確かに実際の捜査中に撮影された写真だ。 
 一月に発生したバラバラ殺人事件、、向田緑川のコンビは二月に岐阜に飛んだ。コンビが発見した犯人が書いた宿屋の台帳の住所を調べるために。一カ月間に及ぶ二人の捜査は、なんら成果を上げられることのないまま終了した。書かれていたのは偽の住所だったのだ。 とにかく寒かったしよく歩いたということを氏は記憶していた。そして写真集のページを捲った先の一枚を指差し、「このハンチング帽は岐阜で買ったんですよ」と言った。撮影は岐阜から帰還した3月に行われたという。犯人を特定し足取りを追う真っ最中に二人の捜査官を遊ばしていたとは考えにくい。 撮影の日数は、20日間とされているが、正確にはのべ20日というぐらいだったかなあ、というのが氏の記憶だ。 ちなみにハンチング帽の件だが、茨城からずっと派遣されたままで、自宅が大塚の向田氏とは違って、出先でいろいろ着るものを買い揃えていたのだとか。
「A criminal investigation」の写真をみて誰もが思うのは、まるで映画のようだという感想だ。確かに周囲の人たちでさえあたかもエキストラのように、カメラを気にしていない。だが、実際には例えば汽車の三等席の待合室では、物乞いがカメラを持つ渡部氏に群がりそれに小銭を上げることもあったそうだ。 時代はまだ東京が焼け野原になった戦後から十数年、今の感覚でいえば9.11よりずっと最近のことだ。

 適当に書き進めたのでなにかいろいろと書きこぼしていることがあるとは思うけれども、また後でいろいろ加筆修正します。 向田力氏は残念ながら警察を定年退職した翌年に亡くなられていた。 
 
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 緑川勝美さん。
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 お話の後にお稲荷さんをご馳走してもらった。 笠間が栗の産地というので、お稲荷さんの中は栗ごはん。笠間のお稲荷さんは日本三大稲荷の一つなのだとか。
by atsushisaito | 2012-10-08 17:55 | 写真展 | Comments(0)

「歴史の天使」@ワタリウム

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 ダイアン・アーバス、アウグスト・ザンダー、ルネ・マグリット、マン・レイ、ジョエル=ピーター・ウィトキン、デュアン・マイケルズ、ロバート・メイプルソープ、クリスチャン・ボルタンスキー、チン↑ポム、アレン・ギンズバーグ、ロバート・フランク、鈴木理策。 多木浩二の写真論を軸に構成された展示。見応えがあり満足。一度チケットを購入すると会期中は何度でも行けるのもうれしい。 

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 ワタリウムの4階の窓。
by atsushisaito | 2012-09-25 12:00 | 写真展 | Comments(0)

濱谷浩写真展

濱谷浩写真展@川崎市市民ミュージアム
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 川崎市市民ミュージアムのHPでも大きな扱いではないので、そんなに展示の数は多くないのかなあと思いながら行ったのだけれども、凄い展示数でびっくりしてしまった。 閉館30分くらい前についたので、駆け足気味での鑑賞となってしまったがこれを観るために足を運ぶ価値は十二分にある展示だった。
 「こども風土記」「地の貌」「American America」の3作品に加えて「雪国」のスライドショー。 地方の子供の姿を通じてその土地の文化を考察する「こども風土記」、世界各地での空撮による「地の貌」、アメリカの大地を車で駆けめぐった「American America」。 これに「雪国」がプリント展示だったら、という思いもないわけではないが、もう3作品でお腹いっぱい。 残念ながら雪国のスライドを鑑賞する時間はなかった。 「American America」という作品を初めてみたのだけど、とても好きになった。 「雪国」のような土着的な作品のイメージが僕の中では強い作家だったから、なおさら。
by atsushisaito | 2012-09-13 11:39 | 写真展 | Comments(0)