Lee Friedlander / America By Car

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published by D.A.P. / Fraenkel Gallery, 2010,

 15年かけてアメリカ50州を車で走り撮影された作品。ワシントンDCは走らなかったのかちょっと疑問なのだけど、それはさておきやはりアメリカと車ってなんだけそれだけでポエティックというか、それをリー・フリードランダーみたいな巨匠がやるとやはりフランクのアメリカンズからはたまたサル・パラダイス、そしてディーン・モリアーティへ、と思いが走るわけです。カラカラのボンネットをバンって閉めて、くそ、動かねえ、ドカっと車を蹴り上げるような、なんだかいつでも苛立ちながら汗をかきつつ道に唾を吐いて天をとりあえず仰いで見たり。どうしようもなくダメな青春の1ページ。
 この作品ではフォード、シボレー、三菱そしてトヨタと様々な車種の車が登場するわけだけど、それらはレンタカーだそうで、既に巨匠となってからの作品なので、道で立ち往生してJAF(アメリカは名前違うか)を呼ぶような旅はおそらくしていないのだろう。写真は全て車内から撮影されている。車窓から見える風景をわざと車内から撮影していることがわかるようにフレーミングすることによって、車窓の向こうに見える光景を借景として利用することによって、独特の世界観を構築している。
 様々な土地でいろんな車の中から外に向かって撮影しているのだが、僕はこの作品の主役はAピラーじゃないかあ、と思う。その次にハンドル。サイドミラーはちょっとした脇役で、その背景である土地はBGM的な。つまりあまり重要ではない。Aピラーはフロントウィンドウの両端にある柱。車を運転してると意外と死角になってしまう危険な部分ではあるのだが、あれがないと衝突した時に簡単にペチャンコになってしまうので、なくてはならない代物。
 このAピラーがもちろん車内から撮影しているから随所に写っているわけだが、これがなんとも艶かしくそそり立っていて、存在感があるものとして登場している。モノクロームの美しいプリントで表現されているそのAピラーを見つめていると、リー・フリードランダーが撮影する植物の写真を見ているのと同じ気持ちになってきて、まるでAピラーが何かの意思を持った生き物ではないかと思えてくる。
 このAmerica By Carという写真集、NYのWhitney Museumでの展示の時に制作されたものだけど、その時にデラックスエディションとして、通常版よりふた回りほど大きいA3変形くらいの判型が内容同じでそのままサイズだけ大きくしたのが1000部限定で出ているのだが、一度そっちも開いてAピラーの迫力に圧倒されてみたい。
 写真集はJohn Szarkowskiに捧げられていて、作中にもカメラを持った本人が登場している。大判カメラを手に笑顔のシャーカフスキーはMOMAの写真ディレクターに就任する以前は、財団から奨学金を得て撮影し、個展も行う作家であったそう(初期の作品は写真集にもなってる。就任中は一切自身の作品の制作はしなかったとか。シャーカフスキーの写真の撮影年数を見ると晩年に近い頃のものだが、いい笑顔してる。1967年にMOMAでリー・フリードランダーを取り上げてからずっといい友人だったんだろうなあ。
 
 
by atsushisaito | 2017-01-25 15:32 | 写真集 | Comments(0)
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