Yulia Krivich 「PRESENTIMENT」

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published by Fundacja Sztuk Wizualnych, 2015, edition of 300,

 端正なクロスのハードカバー、いわゆる表1といわれる表にはなんの表記もない。背にはポーランド語、英語、ウクライナ語にロシア語と4言語が並び、一目ではなにが書かれているのかわからない。英語の「PRESENTIMENT」だけわかった。本を開くと、そこには完全に綴じられていないニュースペーパープリント。本を縦にしてページを捲っていく。折ってあるものを開くものだから、綺麗に作品を見ることができない。また綴じられていない部分に隙間ができる。ちょっと雑な作りだなあ、と軽く触ってしばらく放置していた。デザインがお気に入りのAnia Naleckaで、編集もAniaと写真家のRafal Milach(彼もお気に入りの写真家)で期待していた分、落差が激しかったわけだ。
 といってもせっかく手元にあるのでちゃんと読み込んでみようと、最近触ってみるとなんとなく造りに対してしっくりときた。作家のYulia Krivichはウクライナ出身で、ポーランドで写真を学び現在もそこで作家活動を続けている。そしてたまに帰省するのだが、運がいいのか(写真家として)悪いのかウクライナは東西を分ける紛争に突入していく。撮られている写真がフィクションなのかノンフィクションなのか、それはわからない。しかし彼女はその激動に揉まれていく空気を表現している。それを踏まえた上で造本を見直してみると、ニュースペーパープリントのもろさ、折り目、そして結合しきれないつなぎ目、どれもがウクライナの不安定さをそこに投影しているのではないか、そして編集の平和的な写真と暴力が織り成される様も揺れる作家の心情を紡ぎだしているのではないか、そういう風に見ると、なんとなく理解できたかな、と思った。
 奥付に作家のテキストが掲載されているが、そちらもポーランド語、英語、ウクライナ語、ロシア語の4つ。このことがもしかしたら一番この作品を象徴しているのかもしれない。最後の裏表紙に空押しで小さく作家の名前が押されていて、それを指先でそっと触れた瞬間、いい作品だなと感じた。
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by atsushisaito | 2016-09-14 13:09 | 写真集 | Comments(0)
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