道玄@高田馬場

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 高田馬場駅近くの路地裏にバインミーが美味しそうな店があって、今日も食べたいようなでもまた今度にしといたろっていう感じで近くをふらふらしてたら、ラーメン屋さんを発見。ネットで名前を拝見したことがあるのだけど、お店の前まで来たのは初めて。雑なのか雑じゃないのか、よくわからない外観。幟やメニューが出てなかったら、それなりに落ち着いてるのになあ、と中へ。 
 席についてメニューをみると、ローストビーフ一押しな感じで、やってしまったかあ、と思った。いま、高田馬場ではべんてんの行列からローストビーフへの大行列の時代へと時が流れて、我々の世代では高田馬場というとラーメンかエチオピアだったのだが、最近の若者からすると高田馬場=ローストビーフなのだそう。
 そんな流行りにのっかってしまった店に入ってしまったのか、と後悔しつつローストビーフがのったチャーギュー麺を注文。塩か醤油かと聞かれ迷った。塩はまろやか、醤油はさっぱり、と微妙に参考になるようでならないようなアドバイスから、醤油を選ぶことにした。
 あまりお店の人の手際がよくなく、というかお店が二人で切り盛りするにはちょっと広くて、仕事の割り振りもいまいちで、料理に専念してなさいよ、っていう人がお皿を片したりしていて不安。俺の麺は茹でられているのか、と。とはいえ、2人で協力しないとお昼のランチは大変そうなので、大人しく日経平均の下落をチェックしながら待った。
 ローストビーフなんて、とちょいとばかり馬鹿にしていたものの、丼には旨そうな三枚の肉。こいつはいい肉だ、とスープに沈めてからの汁を一口。あ、このインパクトのなさ、無化調ってやつだ。うん、おじさんはこういうのより、ラーメンです!っていう主張が効いた雑なやつが好きなんだよ、って思いながら食べ進めていくと、あーこういうのもありね、確かにアドバイス通り醤油なのに、さっぱり。もっとビビッドに醤油を重ねてくれてもいいのになあ、と思いながら沈めておいた肉を喰らった。 
 旨い。悔しいがやはり肉は正義なんだということを、あらためて認識させられた。肉は旨い。しかし、スープの熱で赤色を帯びた部分が消えていってしまう。これは危険だ、とさらに一枚口に放り込み、やっぱり旨いなあと心の中で呟いた。こりゃー、おじさんもローストビーフ丼の行列に並ぶ日も近いのかなあ、と最後の一枚をレスキューした後、残りの麺とスープにとりかかった。
 で、この瞬間からさっぱりしすぎていた汁が、美味しい汁に変化していた。汁には肉から溶けだした旨み、脂が加わり、肉の余韻が残る舌の記憶をさらに強くするものへと進化していた。なるほどお、しかしこういう展開はお店の人も考えていなかっただろう、と一人ほくそ笑み(実際には笑ってないですけど)ながら食べ終えて、忙しそうにしてるおばちゃんの隙を見て、おつりなくお金を渡して、この日のランチは終了した。
 
by atsushisaito | 2016-01-21 15:55 | 飯@高田馬場 | Comments(0)