Laura El Tantawy 「In the Shadow of the Pyramids」

c0016177_1229651.jpg

c0016177_12291866.jpg

c0016177_12292674.jpg

c0016177_12293184.jpg

c0016177_12293889.jpg

c0016177_12294539.jpg

c0016177_12295138.jpg

c0016177_12295893.jpg

c0016177_1230569.jpg

c0016177_12301162.jpg

c0016177_1230173.jpg

c0016177_12302383.jpg

c0016177_12303172.jpg

c0016177_1230379.jpg

c0016177_12304319.jpg

c0016177_12304999.jpg

self-published, 2015, edition of 500,

 ブックデザインはSYBことSybren Kuiper。小さいサイズながらも、各ページが袋とじなので、厚みがありずっしりと重い。表紙に印刷されているのはLaura El Tantawyの幼少期の記録写真なのか、少女がピラミッドを背景にラクダに跨っている。それに覆いかぶさるかのように、人の影の写真が重ねられていて、幸福な光景の中に不穏な気配を落としている。
 Laura El Tantawyはロンドンをベース(本人はインタビューで、移動ばかりでどこがベースっていうところは今のところないと言っているが)に活動している写真家。イギリス生まれではあるが、両親がエジプト人ということもあり、幼少のころはエジプトやサウジ、その他にはアメリカで育った。この作品では、彼女が自身のルーツであるエジプトを、記憶を辿るかのように撮影を始めたもの。
 それがラッキーなのか不幸なのか、30年間、政権を維持し続けたムバラク大統領を引きずりおろしたエジプト革命を目の当たりにし、それを記録するという結果となった。 写真集の序盤は、彼女の記憶と擦り合わされたような穏やかな雰囲気で展開される。それらは徐々に不穏な雰囲気に包まれ、一気に革命の渦に巻き込まれる。最初の鎮圧が行われてデモ隊に死者を出した2011年1月25日にタハリール広場にも彼女はいた。それからムバラクが辞任するまでの18日間を、彼女はタハリール広場で過ごした。
 作品の最後は、どちらかというとバッドエンドで締めくくられている。 もはやエジプトは私の故郷ではない、と。幼少期の記憶の中の故郷を求めての旅は、革命の混乱と死者を目の当たりにするという結果になった。もちろん民衆が政権を動かしたという事実は、エジプトをルーツに持つ人間としては、とても喜ばしいことでもあり、そこに居合わせられたことは写真家としても幸運であった。事実、タハリール広場での18日間はとても刺激的であり、人生で最高の記憶であると語っている。 その刺激が強ければ強いほど、彼女の幼少期の記憶の中のエジプトは遠のき、薄れていく。それは彼女が望む結果ではなかった。
 冒頭の文章に、この国には9000万人(統計では8200万)の人がいて、そこには9000万の物語があって、これはそのうちの一つにすぎない、と書かれている。 愛しい記憶への追憶と、厳しい現実が交錯する悲しくも激しい物語だ。
by atsushisaito | 2015-06-19 13:25 | 写真集 | Comments(0)
<< 竹子@本郷三丁目 朝飯@ANAクラウンプラザホテ... >>