滝口浩史 Koji Takiguchi 「窓 Sou」

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published by Little Big Man books, 2014, edition of 300,

 死の淵にある母と娘。悲しみの表情から一転、笑みが広がるこの瞬間になにがそこで起こりえたのかは、その瞬間に立ち会った人にしか知ることができないが、観る側を強く惹きつける写真集に収録されている最初の2枚の写真で、2004年の写真新世紀の準グランプリを受賞した。作品の強さもさることながら、数ある応募作品の中で、この2枚だけの作品(応募時は3枚だったみたいだが)に受賞させる写真新世紀の度量の深さにも驚いた記憶が、今でも残っている。
 その後、2008年にニコンサロンでこの2枚から始まる物語の写真展があった。あの作品の続きか、ととても興味を持って観に行ったのだが、その後に家族の中で起きた事件がただ単純に並べられているだけで、展示としては全くダメだなあ、と思った。
 で、その作品が昨年末、にロサンゼルスに拠点を持つLittle Big Man Booksから300部限定で刊行された。自身もフォトグラファーとして活動しているNICK HAYMESが運営するレーベルで、これまでにも日本人作家の作品を多く手掛けている。
 基本的には2008年の展示作品が掲載されているのだが、大きく違う点は母や父の古い写真が作品のシークエンスに挿入されていること。病床で死が予期される母と娘の2枚の写真のあとには、母の幼い頃の写真。くるくると時間を巻き戻された感覚を覚えつつページをめくっていくと、子供から大人へ、そして父と出会い結婚、そこから時間は現世とミクスチャーされていく。作家の妻が出産したばかりの子供と眠る写真の隣には、生まれたばかりであった妻である赤子を抱く母、父。実際には可視できない生命の螺旋が作中では続いている。
 表紙に描かれたアラーキーによる「窓」というタイトルの通り、絡み合う生と死を窓から覗くように編集されたストーリー。受賞から出版まで10年という月日が費やされているが、それが功を奏し結果的には最高の仕上がりになっているのではないかと思う。 撮った写真と撮影者の間で生まれる距離感の経年による変化も考えさせられる。
 
by atsushisaito | 2015-02-19 12:48 | 写真集 | Comments(0)
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