Mark Power 「Die Mauer ist Weg!」

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published by Globtik Books, 2014, edition of 1000,

 年末にあちらこちらで発表される今年の写真集10冊は、だいたい11月くらいまでに出版されたものがメインで、12月に発売されたものは対象とならないものがほとんど。 なので、本来11月9日に出版される予定だったこの写真集が、12月にその発表がずれこんでしまい、どのベストにも入ることはなかった(photo-eyeで少しだけ)。 しかし、昨年からベストの発表をやめてしまった写真集マスターのAlec Sothがこの作品だけはと、自身のブログで推していた。必ずsold outになるだろう、と。
 タイトルのDie Mauer ist Weg、ドイツ語なので全くわからないのだが、壁はなくなった、という意味なのだろうか。作品のテーマはベルリンの壁。25年前に偶然ベルリンの壁の崩壊の現場に居合わせたMark Powerが捉えた写真。表紙のデザインに使われているのは、当時 Mark Powerが現地で購入した新聞の記事。 ブックデザイナーは僕のお気に入りのAnia Nalecka。ポーランドのデザイナーで、印刷も現地で行われている。Mark Powerの前作 「sound of two songs」は5年間にわたりポーランドを撮影した作品。Aniaがブックデザイナーとして有名になる以前から、もしかしたら知り合いだったのかもしれない。
  380 x 282mmの大きさもさることながら、表紙に使われているボール紙がとくに厚手で、そこにエンボスされたデザインはとても迫力がある。どちらかというとAniaらしくないかなとも感じたが、中を開けると一回り小さな本文が糊付けされている。ラフなようで実は繊細なところはやはり彼女らしいところを感じさせられるデザイン。
 Mark Powerはマグナム所属の作家。今では随分と多様な形になっていて、マグナム=ドキュメンタリーという単純な図式は通用しないのだが、この25年前の作品を見てみると、なるほど、というところもある。ただ、この壁の崩壊は多くのカメラマンが撮影しただろうし、それだけを取り上げて写真集にしてしまうのは、少し雑なような気がするが、さすがMark Powerというところか、前段な部分にはその喧騒を捉えたシークエンスが続くが、後半部分には東ドイツの西から取り残された風景が配置されている。 大判のカメラで静かな景色を捉える現在のMark Powerの片鱗がここでも窺える。
 ベンツ、ポルシェにワーゲン、西ドイツの経済の象徴でもある華々しいブランドに対して、画一的に寂しく並ぶトラバント(今では、それがファッショナブルなのだから面白い)、そしてベルトルト・ブレヒトの墓。この作品をもって、Mark Powerが本格的に写真家への道を歩むきっかけになったという。
 出版のGlobtik BooksというのはPowerの自費出版レーベル。そしてこの本が第一号。これからどんな本がここから生み出されていくのかが、とても楽しみ。
 
 
by atsushisaito | 2015-01-08 13:45 | 写真集 | Comments(0)