Eamon Doyle 「i」

c0016177_12122398.jpg

c0016177_12123570.jpg

c0016177_12124615.jpg

c0016177_12125695.jpg

c0016177_1213593.jpg

c0016177_12131313.jpg

c0016177_12132421.jpg

c0016177_12133325.jpg

c0016177_12134247.jpg

c0016177_12135220.jpg

c0016177_1214143.jpg

c0016177_12141381.jpg

c0016177_12142253.jpg

c0016177_1214329.jpg

published by D1 , 2014, edition of 750,

 今年の上半期で最も話題となった一冊。といっても、それはヨーロッパの方の話であって、日本にその話題が届く前にSold out。売り切れるスピードはAfronautsと同じかそれ以上だったかも。 現地の人にかろうじて押さえてもらった一冊を手に入れることができた。
 アイルランドの作家 Eamonn Doyle。写真家としての活動より、音楽家としての活動の方が有名なようだ。今回の出版元となっているD1はもともとテクノのレーベルで、長年、そこを拠点に活動し多くの曲を発表している。
 縦長の版型で布貼、タイトルのiのデザインが特に目を引き付ける。本を開いて、黒いブランクなページが数枚続いた先に、細部まで鮮明で美しい印刷の老婆の後ろ姿の写真が現れる。およそ高価とは思えないコートを着た老婆のそのスカーフは、光が作る陰影によってとても滑らかで綺麗な質感に描かれている。縦34センチの長さいっぱいに割り付けられているので、写真の迫力もある。
 掲載されている30枚の写真、全てアイルランドの街を行き来する老人の写真。そしてその多くは背後から迫っている写真。広角レンズを使用しているので、相当接近しないと撮れない。作家曰く、完璧に気づかれずに撮影してるのだとか。 
 最初に写真集をめくっていると、ストリートフォトならではの光の使い方や、そこからくる色の鮮やかさや高精細の印刷などに目がいくのだけれど、さて、作品はというとすべて老人で、そして誰もが一人。どこかに向かっている者、どこかから来る者、ベンチで座っている人。そして一枚だけ折り込みの形で挿入されているのが、ベンチで本を読んでいる老人の背中の横位置の写真。 作家が言及するサミュエル・ベケットの世界を構築するかのように、孤独でその存在の希薄さを写し出している。
 写真集がすぐに売り切れた背景には、Martin Parrの力によるところが大きい。M.Pの家に献本として届いた本をいたく気に入ったM.PはPhoto-eyeをはじめ、いろいろな場所でこの本を推した。ここ10年でみたストリートフォトグラフィーの写真集でベスト、と。当然、それに反発する人達もいて、そういった意見の応酬を見るのもなかなか面白く、それらも結果的にセールスを押し上げる要因になったのかも。
 今年のカッセルのInternational Photobook Awardにも当然、M.P選でノミネート。今後のParis Photoにもノミネート必至だろうし、Sold outになってからも話題に尽きない作品。
by atsushisaito | 2014-07-20 12:16 | 写真集 | Comments(0)
<< タバーン シンプソン@京都 ブリック@中野 >>