2014年 01月 14日
Carlos Spottorno 「The PIGS」
タイトルのPIGSとはポルトガル、イタリア、ギリシャ、そしてスペインの頭文字。ギリシャは特に日本でもよく報道されていたように経済危機が深刻な国で、その破綻はEU全体の破綻へと繋がる。PIGSの各国はEUの中でもギリシャに続いて問題になっているそうだ。 そうだ、というのはその手のことに全く私が知らなくて、この写真集を手に取って初めてPIGSという呼称を知った。一般的には知っていて当たり前な常識なのかもしれないが、そういう知識のない人間からするとヨーロッパそのもののイメージは、割と裕福で優雅な暮らしを想像してしまうのではないかと思う。
PIGSの一を構成する国の一つであるスペイン出身の写真家 Carlos Spottornoが撮影したその風景は、確かに経済の影を感じさせてくれる。それと同時にやはり私たちが想像するヨーロッパの光景でもあるのだ。例えば青い空に小高い丘、その向こう側にはイタリアかスペインだか知らないが綺麗な海。おそらく現地ではありふれた場所ではあるだろうが、アジアに住む私にとってはこんなとこまで来たんだという感慨が溢れるようなそんな場所。丘一面に広がる投棄されたゴミがなければ。
写真の中には悲壮感は感じられない。登場する人物もその時が来るまで静かに運命のを待っているような。先進国でありながら、不況という闇に浸食されていく世界を写した作品。
ホチキス止めのペラペラな作品なので、傷みが激しいのが難。それもおそらく本棚に並ぶものではなく、雑誌にように消費されていくというコンセプト。だと思う。