John Divola 「Dogs Chasing My Car in the Desert」

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 いつもと変わらない暑くてけだるい午後(それは少し涼しい午前かもしれない)、彼(それは彼女かもしれない)はあいつが来るのをじっとまっている。 目の焦点はどこにも合わせない。少しでもその瞬間に力を爆発させることができるために、耳と鼻のアンテナの感度は保っていても、体そのものは地球の重力が押さえつける力に逆らうことなく弛緩させ、地面に横たわっている。 発汗するためにだらりと口からはみでた舌の上に流れる自らの呼吸の音の他には、なにも聞こえない。 ぽつんと遠く離れた家から、カチャリとなにか食器がぶつかるような音が静かに聞こえた。 
 その音に重なるように、地響きが始まった。 最初は捉えるのも微かな音量が、次第に大きくなりそれは地面によこたえた体からも感じられるようになっていった。 やつが、きた。 体を起こして、ぶるっと武者震いをした。砂粒がぱらぱらと周囲に落ちた。 集中力を高めるために、空にむかって吠えた。 遮るものがない空はその遠吠えをわけもなく簡単に吸収した。 確かめるようにもう一度吠えてから、砂煙が見える遥か先に目を据えた。 やつが、きた。
 それからのことはなにも覚えていない。 記憶の切れ端には、やつを追跡した断片がいくつか残っている。感情が爆発した後には、それくらいの記憶しか残っていない。 ただ、やつには一度も追いつけなかった。 やつがやってきてから、去っていくまでの時間はとても短かった。だけども、それを追っている時間、その瞬間、時は止まっていた。 よくある言い回しだろうけど、一瞬と永遠。 そんな感じだ。

 John Divolaは1995年から1998年、Isolated housesという作品のプロジェクトのために、砂漠の撮影にでかけた。 この犬の作品は、それと同時期に撮影されたもの。 Nazraeliから。1000部。 ちょっと犬の気持ちになってみた。
 
by atsushisaito | 2012-06-15 22:11 | 写真集 | Comments(0)
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