2012年 04月 14日
北島敬三 「ISOLATED PLACES」
今年、最高の展示の一つといっていいだろう。 素晴らしい。700部限定の写真集もいいのだが、これはやはり展示でみないと、その良さを感じることが難しいのではないだろうか。 それだけ、作品が持つエネルギーが充填されたプリントだった。
曇天の下に、写された建物。 どの光景もこれが自分と住んでる世界と同じものなのか、と驚くほど現世との隔絶感をもっている。 作品をみながら、僕はAlec SothのBroken Manualを思いだした。世界から遠く離れて暮らす人々をテーマにした作品だが、どことなく共通した感覚があるように見えた。 だけど、この作品が凄いのは、Sothが実際に隠遁した人の世界を撮影しているのに対して、人の営みが現在も進行している世界を撮影して、あたかも隔絶しているかのような世界を作り上げていることだ。
どのようなことを趣旨した作品かは、まだこれに関する文章を読んでいないのでわからない。 でも、僕が受け止めたものが、その趣旨から遠くずれていても、それはどうでもいい。 僕にとって、僕が感じたことが全てなのだから。 雪の光景の中で、佇む家の写真(写真集の表紙の)に惚れた。
写真集は、それほど大きいサイズのものではないので、展示を見た後には物足りない感じが強い。 もし展示を見ないで、先に写真集をみたのならば不満もないとは思う。 でもこの作品、Todd Hidoの「House Hunting」のような大きなサイズにして欲しかったなあ。